一等機関士

エンジンルームの現場を任され、船が安全に正常航行できるよう努めています

私の乗船しているタンカーは30万Kℓの原油を積み、直径10mのプロペラが1分間に60回転し、船速16ノット、時速にすると30km程で航海しています。
そのプロペラを回すのが出力3万馬力のディーゼルエンジン(船では主機と呼びます)です。主機を運転するには様々な関連機器があり、発電機、ボイラ、造水器など数百種類の機器が一つのプラントとなって主機を動かしています。

また、タンカーにはカーゴポンプやイナートガス装置などタンカー特有の機器もありますが、その様々な機器を万全の状態にしておくために、計画的な整備と、毎日の運転維持に神経を尖らせてトラブルがあればすぐさま対処するのが我々エンジニアの仕事です。300mある大きな船で一等航海士と二人しか着けることのできない「赤いヘルメット」に象徴されるように、エンジンルームの現場を任された管理責任者が一等機関士です。
毎日の整備計画はもちろんのこと、事故を起こさぬよう日頃の安全管理にも気を抜くことはできません。

乗船中は気の張った毎日を過ごしていますが、船上での生活はなかなか楽しいものです。乗組員全員で豪華賞品を競い合うデッキビリヤード。ゴルフのようなゲートボールのようなアイスホッケーのような、ルールもなかなか難しいのですが、これがやりだすと嵌ってしまうのです。


一丸となってエンジンルームを守っています!

海に向かってソファーを置き、ビールを片手に読書をする人も。豪華客船でのバカンス気分です。また、最近は家族とのメールのやりとりもでき、時には電話で家族の声を聞き仕事へのパワーを貰っています。管理船全てが日本人とフィリピン人の混乗船ですが、フィリピン人クルーはとっても陽気で日本人的な感覚を持った人間が多く、外国人と一緒に生活をしているという感じは全くありません。明るい船内でほんとうに楽しく過ごしています。
「大きな会社で1つの駒になるよりも、小さな会社で歯車のひとつになるほうがやりがいのある仕事ができる」、この言葉を今でも忘れません。学生時代、バイト先のある人から言われた一言です。
出光タンカーは海運会社としては決して大きくはありません。だからこそ、同じ会社にいながら時には外航船員、時には本社陸上スタッフ・海外駐在員、またある時には新造船のスタッフなど多分野の要職を任されるのです。歯車のひとつになっているからこそ自分の頑張りが会社に影響力を与えることができるのです。
日本のエネルギー源を支えているという使命感、充実した毎日、安定した生活、家族の幸せそうな笑顔を見ると「出光」を選んで良かったと常々思います。

ある1日の行動

機関室にて

機関室にて

6:30 起床
7:00 朝食
8:00 作業開始
12:00 昼食
13:00 作業開始
17:00 作業終了
(夏場のエンジンルームは常に40度以上。作業が終わったあとのビールはまた格別)
18:00 夕食
フィリピン人コックの作る食事はメニューも豊富でなかなか美味。夕食後は自由時間。翌日の準備、書類作業などが終われば、読書や家族の送ってくれたDVDなどを見て過ごす。
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