パイロット(水先人)

東京湾や瀬戸内海などは地形や潮流が複雑な上に、タンカーや貨物船、漁船など大小様々な船が多く行き交います。また、各海域毎に異なる航行ルールが課される場合もあり、非常に操船難度が高い場所です。

そこで、そうした各海域特有の航行方法や地形などの事情に精通した水先人免許(国家資格)を持つパイロット(水先人)が船長のアドバイザーとして乗船します。
また、小回りのあまりきかないタンカーなどの大型船は、タグボート(大型船を押したり曳いたりして離着桟を補助する曳き舟)の支援を受ける必要があります。パイロットは各タグボートに指示を出し大型船の動きを制御します。

水先人には湾の入り口から指定航路を抜け港内までの操船指揮を担当するBay-pilotと、港内から岸壁への離着岸を担当するHarbor-pilotがいます。

  1. Bay-pilot(ベイパイロット)
    日本各地の湾の入り口から港内までの操船を担当するパイロット。
    本船を湾の入り口から航路を通り湾内を安全に航行させる為、乗船します。
    船舶交通が輻輳する航路航行時には本船の前方にエスコート・ボートと呼ばれる進路警戒船を置き、本船の航行に影響を及ぼす可能性がある船舶に注意喚起をして、進路前方の安全を確保します。
  2. Harbor-pilot(ハーバーパイロット)
    港内での離着岸を担当するパイロット。
    大型船は速力が低下するに従い舵が効きにくくなる為、本船を着岸させる為にはタグボート(曳き舟)の支援が必要となり、パイロットは各タグボードに指示を出し大型船の動きを制御します。
    特にVLCCが着桟する際には330mの巨大な船体を数十センチ/秒単位の速度で操船することを要求されるので、パイロットには非常に緻密な操船技術と経験が求められます。
  • 小型船に乗りタンカーへ向かうパイロット

    小型船に乗りタンカーへ向かうパイロット

  • 着桟時の操船指揮

    着桟時の操船指揮

一言コラム:航空機のパイロットは?

航空機のパイロットももとはこの水先人が語源であり、海と同様、陸上の道路のような決められた場所を走ることができない機体を目的地まで操縦することからきています。
航空機に使われる用語のいくつかは船で使われている言葉でもあり、機長の英語名も船と同様に“キャプテン”となっています。

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