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オイルロード超大型タンカー12,000kmの旅
「一航海の軌跡」Vol.4 日本帰港 4/4

原油の揚荷作業

本船がマラッカ・シンガポール海峡を通過する頃から、揚荷(原油の船卸し)に向けた準備が始まります。以下はその一例です。

本船上パイプライン圧力テスト

甲板上のパイプライン
甲板上のパイプライン
原油を揚荷するパイプラインが漏洩すると、流出油事故に繋がる可能性があります。それを防止するために、圧力をかけてパイプラインに漏れがないか、入念に点検を行います。

検水

積荷の原油は天然の産物です。水分が混入していることがある為、平穏な海域でウォーターペーストという薬剤を使用して、水分混入度合いのチェックを行います。原油より重い水分は比重差でタンク底に分離するため、中東を出港して約10日後に通過するマラッカ海峡は、検水を行うには、日数的にも場所的にも適しています。

本船パイプラインと陸上パイプラインの接続

タンカーが桟橋に無事着岸すると、早速、本船のパイプと陸上のパイプが接続されます。パイプの接続箇所であるマニホールドでは気密チェックが行われ、本船上のバルブ開閉に間違いがないか甲板部乗組員全員で確認します。
  • 日本の港に無事着岸
    日本の港に無事着岸
  • 陸上ターミナルのラインと接続
    陸上ターミナルのラインと接続

タンク内に不活性ガス(イナートガス)を充填

牛乳パックにストローを差し込んで飲み続けると、やがて牛乳パックは凹んでしまいます。同じように、密閉されたカーゴタンクに満載した原油を揚げていくと、原油はだんだん減っていきます。原油タンクの壁を構成する鉄板は約2cmの厚みしかないので、牛乳パックと同じように凹んでしまいます。それを防ぐには、空気を吸い込む穴をカーゴタンクに開けておけばいいのですが、石油ガスが充満したカーゴタンク内に空気を取り込むと、爆発しやすい環境ができてしまいます。これを防ぐために、タンク内に空気の代わりにボイラーの排ガスを利用した不活性ガスを強制的に送り込んでいます。この装置をイナート(不活性)ガス 装置といい、この装置を揚荷開始前までに運転準備しておく必要があります。

いよいよ揚荷スタート

原油を揚げるカーゴポンプ
原油を揚げるカーゴポンプ
揚荷で使用するカーゴポンプはボイラーで作った蒸気で回ります。1時間に5,500m3ぐらい揚げることができるポンプが3台あり、これはドラム缶82,500本分の原油を1時間で揚げることができる量に相当します。

準備が終了し、ポンプがスタンバイできたら、バースマスター(陸上の原油受入れ施設の責任者)の指示を受けて、イナートガス装置を起動しタンク圧力を確保しながら、ゆっくりと揚荷をスタートします。
甲板上やポンプルームにスタンバイした乗組員によって、各パイプラインの通油状況や漏れの有無、またカーゴポンプの運転状況が確認されていきます。異常がなければ、バースマスターが要求する揚荷流速までポンプの回転数を上げていきます。約35時間〜40時間を要する揚荷作業の始まりです。カーゴコントロールルーム(荷役制御室)では、当直の航海士が交代でオペレーションを行います。特に荷役作業の責任者である一等航海士は、安全に揚荷作業が終了するまでの長時間を常時監視します。
  • 一等航海士の指揮の下、ポンプ操作を行っているフィリピン人二等航海士
    一等航海士の指揮の下、ポンプ操作を行っているフィリピン人二等航海士
  • ローディングコンピュータでタンク状況確認
    ローディングコンピュータでタンク状況確認

揚荷中の付帯作業

当直の航海士は毎時間、各タンクの残量を計算したり、船の強度計算を行ったりします。原油を揚げると船の喫水が浅くなってくるので、天候の急変や地震等の緊急時にもすぐに離桟し、航海できるように、プロペラが海面に出ないよう喫水を一定に保つ海水を積み込みます。この海水をバラストと呼び、揚荷と同時にバラストタンクに海水を積み込んでいきます。

揚荷中には、原油洗浄の作業も平行して行います。
いよいよタンク内の残量がわずかとなれば、原油もガスも同時に吸引できるエダクターという装置を使って各タンクが完全に空になるまで浚(さら)い、エダクターで吸引した原油を一箇所に集めます。集めた原油と揚荷に使用していた太いメインパイプライン内の残油を小口径のMALPOLライン(最終揚荷ライン)とストリッピングポンプ(浚いポンプ)を使って完全に揚荷して終了となります。
揚荷前(原油満載)の正面写真/揚荷後(原油を揚荷してバラストを積み込み)の正面写真

無事揚げ荷終了、再び中東へ

これまでの長時間にわたる作業で、皆、クタクタになりますが、揚荷港を出港してしばらくは、船舶の輻輳海域を航行しなければならないので再度緊張が高まります。船舶交通量の少ない外洋の海域に出てから、やっと一息。また、メンテナンスをしながら、次の積荷へ向けて中東へ折り返しの往航となります。

<エピローグ>

日本は原油のほぼ全量を輸入に依存している原油輸入大国です。 中東とのオイルロードを航海して日本に運ばれた原油は、製油所で精製されてガソリンをはじめとする石油製品となり、さまざまな形で人々の生活を支え、社会へ貢献しています。 出光タンカーは日本のエネルギー輸送の一端を担うタンカーの会社として、安全かつ安定的な原油輸送に努め、産油国と消費国を結ぶ海上のパイプラインの役目を今後も果たすため、精鋭乗組員によって24時間絶え間ない航海を今後も続けてまいります。
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