オイルロード超大型タンカー12,000kmの旅「一航海の軌跡」Vol.4 日本帰港 3/4

船用品・部品・潤滑油の積み込み

30万t積の大型原油タンカーが順調に航海するためには、「船用品」「部品」「潤滑油」などの物資の補給が必要不可欠です。基本的に航海中は物資の補給ができないため、必要物資は日本で補給しますが、日本を出港して中東で原油を積み、また日本に帰港するのに約45日かかるため、補給は約45日に1回となります。
「船用品」とは、船を整備するための汎用部品や工具類、または乗組員の生活用品(ホームセンターやスーパーにあるような物)などで、その数は約1万種類にもおよびます。
「部品」とは、船の推進を司るエンジンを含め、電力を作る発電機や、原油を陸揚げするときに使用するポンプの動力を作るボイラーから、厨房のグリル等まで多種多様な機器を構成するパーツのことです。
航海中にも乗組員は各機器のメンテナンスを行うため、ある程度の部品のストックが必要となります。そのため定期的な機器の整備や、予想されるトラブルに必要な予備品を持っておくことが必要となります。
また、航海中における突然の機器の故障に対応しなければなりませんが、航海中の海の上では専門の修理業者に来てもらうことはできませんので、乗組員のみで修理する自己完結を求められます。
部品は、船の安全運航と稼動に不可欠なもので、その数は約2万種類以上になります。

  • 本船へ積み込まれる船用品を満載した積み込みボート

    本船へ積み込まれる船用品を満載した積み込みボート

「潤滑油」とは、機械やエンジンの摩擦部分の潤滑剤として使用される油のことで、各機器の内部機械滑動部(回転部、往復動部)に適当な油膜を与え、磨耗を防ぎ機械自体の効率を増すと共に、摩擦面間に発生する熱を持ち去って、固体接触部の温度の過昇を防止します。潤滑油の種類には、シリンダー油、システム油などがあり、それぞれに役割を持ちます。

これらは、一航海に一回、本社へ必要分を申請し(一隻一回当たりの申請件数は、船用品約150件、部品約25件程)、本社では複数の取引先へ見積りを依頼後、価格が妥当で品質の良いものを選定し納入手配を行います。そして、本船が日本帰港時、揚荷シーバースに着桟中に、潤滑油は専用のバージ(小型船)が運んで来ます。本船の潤滑油取込口へホースを接続し、本船の潤滑油タンクへ移送します。船用品、部品は積込ボートから専用のクレーンで本船上に積み込みます。この積み込みは多くの場合、本船がシーバースへ着桟後、荷役開始前の1時間半の時間制約の中で行われます。荷役の準備や積み込みと、さながら船上は戦場の様な状況です。

  • 船用品を船に積み込む

    船用品を船に積み込む

  • 申請したものが納品されたか確認中

    申請したものが納品されたか確認中

積み込まれた船用品・部品は、一旦体育室などの広い部屋へ搬送され、申請通りのものが納入されたかどうかを一品一品確認し、受領報告書にて本社へ報告します。これを受けて本社で完納処理(完全に納入したことを確認し、費用の精算等を行う)を行い、積み込みの一連の作業が終了します。

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