オイルロード超大型タンカー12,000kmの旅「一航海の軌跡」Vol.3 ペルシャ湾~シンガポール海峡 2/4

船内で病人…医療無線

前述の通り、船は自己完結を求められる“大海原に浮かぶ小さな鉄の箱”です。一旦船内で「機関の故障や病人の発生」といったトラブルが発生したら各担当部署を先頭に皆で協力して解決していかなければなりません。
そんなトラブルの中でも“怪我・病気”は船長以下乗組員が最も気を揉むトラブルです。航海、荷役、機関維持については「なんでもお任せを!」である海の男達ではありますが、一旦相手が人間の体となると…。
現在の外航大型船にはドクター(医務)は乗船していませんが、船長以下日本人職員はほぼ全員、「船舶衛生管理者」という講習を受講し資格を所持しています。また船には怪我・病気の初期の段階に対処するための医薬品を備えています。
この他、怪我・病気に対して万一に備えた適切な初期対応を行う為“医療無線”を通して専門医の指示を仰ぐ事ができます。

ある日、司厨部員が「熱が出た」と言ってきました。原因は足の指に水虫のようなものができており、そこから菌が入ったことが原因のようです。早速横浜にある船員保険無線医療センターに患部の写真をメールで送信。状況を報告して、適切な処置方法と投与すべき薬品に関して助言を求めました。

医務室
医務室

薬を保管しているキャビネット
薬を保管しているキャビネット

今回は巻き爪とのことで、患部消毒後、抗生物質を投与することになりました。陸上と違って「病院で診てもらう」ことが洋上では容易でないため、「健康である」ことが船員にとって最も大切なことなのです。

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