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オイルロード超大型タンカー12,000kmの旅
「一航海の軌跡」Vol.2 インド洋〜ペルシャ湾 4/4

安全第一!200万バレルの原油積込作業開始

一点係留ブイ(SBM)
一点係留ブイ(SBM)
日本からペルシャ湾まで20日程度かけて航海し、中東での原油の主要積出港であるラスタヌラ(サウジアラビア)に到着したタンカーは、すぐに原油の積荷役を開始します。 VLCCが積み込む原油の量は約200万バレル。(ℓで換算すると約3億ℓ。)日本で一日に消費される原油の量の約半分を約30時間で積み込みます。
  • 原油の積み込み口(マニホールド)
    原油の積み込み口(マニホールド)
  • ホース接続作業
    ホース接続作業
  • 原油を積み込み中
    原油を積み込み中
  • バラスト排出のためにバラストポンプを操作する当直航海士(荷役制御室)
    バラスト排出のためにバラストポンプを操作する
    当直航海士(荷役制御室)
中東での積荷役では陸から遥か沖合いに設置されたSBM方式と呼ばれるブイ(航路の目印、船を係留するなどの機能を持った浮標)係留での積荷が多く、VLCCはブイに設置されている海底輸送用ホースを自身のクレーンで引き上げて接続し原油を積み込みます。船が陸から遠く海上にあるので、もちろん上陸などはできません。航海士は荷役制御室で、原油タンクの積み量を見ながらバルブの開閉を遠隔操作で行い、バラスト水を排出して船が安定した状態を保つよう調整を行います。機関士は停泊中にしかできないような整備作業を行います。

荷役が終了すると本船では積み込んだ原油数量の確認を行います。積んだ原油数量の確認といっても200万バレル!出港までのわずかな時間に、時には4種類以上の原油数量を油種毎に比重、温度を確認し、数量算出をしなくてはなりません。数量の計算が終ると即、出港作業に取り掛かります。中東の原油積み出し港の殆どが24時間営業!VLCCは一港で全ての荷役を行った場合約1泊2日で出港していきます。しかし、今航のペルシャ湾は砂嵐がすさまじく、周囲一面を薄闇に変え、視界は約300m以下に落ち、運航に支障を与えました。また砂の細かい粒子が体中に、また、船体各所にまとわりつくような日が積地停泊中ずっと続きました。原油を満載した本船はゆっくりとブイを離れ一路日本を目指し航海を開始します。船は白波をけたてて一路日本へ!
日本へ向け、いざ出港!
日本へ向け、いざ出港!
積荷前のVLCCの水面下の船体の深さ(喫水)は約11m。これが原油満載後には19m以上になります。高さが29mある船体の約2/3が水中に沈んでいる事になります。これは6階立てのビルが水中に沈んでいるのと同じになります。
自動車や小型のボートは動き出してすぐにスピードを上げる事ができますが、VLCCは積荷の原油と船の重さ併せて30万t以上と非常に重いため、すぐには船速を上げる事ができません。エンジンに無理な負荷を掛けない用に直径9mのスクリューの回転を段階的に上げてスピードアップしていきます。
原油満載時の本船の航海速力は平均15ノット(時速約28km)。それ程早いと感じませんが、しかしこのスピードに達するまで約2時間程度かけて増速していくのです。更にアラビア湾内は水深が浅いために湾の出口付近の比較的水深の深い海域までは船速を上げる事はできません。

出港すると今航の下船予定者のテンションは最高潮に達します。下船でない人には…大丈夫です、小さな楽しみがあるのです。イスラム教国に囲まれる湾内ではアルコールの摂取が禁じられています。船では入湾前に船内の全てのアルコール類を鍵のかかる部屋に保管、税関職員の確認を受け扉に封印をします。例えば湾内2つの港で積荷をすると4、5日程度は「仕事の後の一杯」は御法度となります。身体にはその方がいいのでしょうが、コレが精神面に結構効きます!出港後に倉庫の封印を破り、氷を入れたバケツに缶ビールを冷して飲む一杯は正に天国の一杯です。

湾内を半日走るといよいよ湾の出口「ホルムズ海峡」に到達します。「海峡」と言うと関門海峡のような狭さを想像されがちですが、ホルムズ海峡はその幅が最狭部で33km程もあり、海峡内には入湾用、出湾用の航路が設けられ、本船はそれを通って、湾出口の「リトルコイン島」を右手に見て出湾、一路インド洋を目指します。
  • アルコール類を保管している倉庫内
    アルコール類を保管している倉庫内
  • アルコール類を封印する際に貼られたシール跡
    アルコール類を封印する際に貼られたシール跡
ホルムズ海峡から見た「リトルコイン島」
ホルムズ海峡から見た「リトルコイン島」
次回は、日本への帰路の様子を紹介します。
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