オイルロード超大型タンカー12,000kmの旅「一航海の軌跡」Vol.2 インド洋~ペルシャ湾 3/4

燃料補給…バンカー船とランデブー

船の燃料を通常「バンカー」と言い、これは石炭を燃料としていた時代に石炭庫の事をバンカーと呼んだ名残で、今でも燃料をバンカーと呼んでいます。

船の燃料にはC重油(原油をガソリンや灯油などに分留して最後に残った燃料成分。極めて粘度が高く、加熱して使われます。)が使用されています。

一般に大型船は重油を使用する2サイクルのディーゼルエンジンを搭載しています。本船では航海速力15ノット(時速約28km)を出すのに1日約100tの燃料を消費します。15ノットとして1日に約670km走る計算。燃費は1ℓあたり7m!通常、日本から中東の往復航海で約3千tのバンカーを使用します。積み込む量はその航海に必要な数量を機関長が算出し、手配を依頼します。車みたいに「レギュラー満タン現金で!」ではありません。

積み込みはバンカーバージと呼ばれる小型タンカーから行います。小型といっても大型船に補給するため1万tを超えるサイズのものもあります。停泊する港の沖で錨を打った状態(船が錨を下ろした状態)でお互いを写真のようにロープで係船後、燃料移送ホースの位置がずれないように支えて調整し、バンカーを受けるマニホールドにホースをボルトで接続して補給を開始します。補給中はロープでホースを吊って固定しますが、ここまでは全員総出の作業です。補給には6時間前後かかり、気がつけば美しい夕日が辺りを包んでいました。

バンカーの積込時間を利用して他にも部品や食糧などの重要な物を積み込みます。これらは船食と呼ばれる別の業者が小船で持ってきます。燃料・部品・食糧、必要な物を全て積み込み、まだまだ航海は続きます。

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