地熱エネルギー開発への取り組みの軌跡 1970年代後半の黎明期より、新エネルギー開発に取り組んできた出光の軌跡を、関係者の証言から追ってみる。

  • 地熱エネルギー開発への取り組みの軌跡

    STORY 1

    先進的な出光の取り組みに時代が追いついた

    1996年に稼働を開始し、九州電力と共同で運営する大分県滝上変電所における蒸気生産、及び北海道、秋田県で開発が進む新規案件を含む、地熱プロジェクト全般を総括する立場にあります。弊社が地熱開発に携わったのは、1970年代後半に起こった第2次オイルショック直後のこと。エネルギーを供給する企業の使命として、石油に代わるものをとの思いからスタートしました。私も入社以来、長年に渡りこの地熱開発のプロジェクトに携わることになったのですが、候補地探しに数年、さらに滝上地域での開発を進めてから実に16年もの期間を掛けてようやく、発電所操業に到達したという、大変壮大なものとなりました。公共性が高い反面、決して事業性が高い取り組みとは言い難く、滝上発電所操業という一つの到達点に至るまでは、自分の将来を含め、不安を感じる場面もありました。しかし、当社の経営陣の意思は揺るがず、その信念を貫き通した結果が、こうして結実したのだと思います。当初は、石油の代替エネルギーという位置づけだった地熱も、その後、環境配慮と国産エネルギーを活用するという要素も加わり、時代がようやく当社の取り組みに追い付いてきたという感覚があります。長期に渡る取り組みの中で、多くのノウハウを蓄積。この滝上変電所の成功が、次のプロジェクト始動の大きな契機となったことは言うまでもありません。現在は、再生可能エネルギーとして、国も積極開発を進めようとしており、地熱開発の環境は徐々に整ってきました。まずは進行中の2プロジェクトを確実に仕上げ、地熱の未来を切り拓いていきたいと思います。

    資源部 後藤 弘樹統括マネージャー 1984年入社
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    STORY 2

    地熱開発への期待が一層の
    高まりを見せている

    入社した翌年には、大分県の現場勤務となり、以来、長年に渡り、地熱開発事業に携わってきました。地表調査にはじまり、有望地を選定した後の掘削、そして各種試験といった一連の地熱開発プロセスの中で、技術的な側面からのアプローチを担当してきました。確かに、長期に渡るプロジェクトではありますが、実施する内容は多岐に渡っています。数年単位で地表調査を行い、その後、数年にわたり掘削を実施するなど、開発のステージはダイナミックに変化していきます。また、毎年の調査結果を反映しながら翌年の調査、検討方針を立てていくので、同じことを繰り返しているという感覚もまったくありませんでした。掘削時の業務で言えば、24時間体制の掘削に合わせて、井戸内の地層の電気抵抗、温度や圧力などを測定しますが、昼夜を問わず徹夜で作業したものです。私自身、キャリアを重ねるごとに調査のみならず、環境アセスメント対策や各種許認可手続き、電力会社との交渉など、常に新たな役割へのチャレンジの連続でした。そもそも資源開発は、非常に時間がかかる事業でありますが、私自身、調査開発から滝上発電所操業まで、一連の流れを体験できた意義は大きいと思っています。恐らく、3年や5年では部分的なことしか見えないですし、一気通貫で体験できるチャンスは、なかなかありません。クリーンエネルギーへの期待が膨らむ昨今の社会情勢も後押しとなり、地熱開発への期待が一層の高まりを見せています。したがって、若い技術者が活躍するフィールドも確実に広がることと思っています。

    資源部 地熱課 古谷 茂継主任技師 1982年入社
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    STORY 3

    自然エネルギー開発に関する技術発展に寄与

    私が入社する前年から設置されていた「新燃料室」に配属。以来、地熱エネルギー開発一筋でこれまでの会社人生を過ごしてきました。当初は、有望地を絞り出し、調査ボウリングを実施しても、想定外に温度があがらない場所もいくつかありました。その中で、ようやく地熱の状態が安定していた滝上エリアにたどり着いたのは、私が入社してから8年目のことでした。当社が取り出した蒸気を供給し、九州電力が発電を行うというかたちで職掌を分担し、2社間で慎重に協議を行いながら、発電所建設を進めていきました。滝上エリアは、比較的安定した蒸気を噴出しているのですが、同時に発生する熱水を地下に戻す際に、熱水に含有する多量のシリカが結晶となり、還元能力が低下する問題が発生。何本も井戸を掘って、安定供給できるポイントを見つけるまでに数年間の時間を要しました。発電所がようやく完成し、稼働を開始してから、今年で18年目となりました。調査、建設に要したのと、ほぼ同じ期間安定的な運転が続いていることで、ようやく安堵しているところです。現在は、出光大分地熱滝上事業所の所長として、機器設備の保守や運転管理業務を統括すると同時に、対外的な顔として九州電力や地方自治体などへの窓口業務を行っています。国産の自然エネルギーとして注目を集める地熱エネルギーを、しっかり安定供給しているという一つの成功事例として、今後の技術発展に寄与できればと思います。そして、何よりも雇用の創出や地元の方々にとっても利用価値のある地域のエネルギーとして受け入れられていることを嬉しく思っています。

    出光大分地熱(株) 森山 清治 1978年入社
※所属は取材当時のものです。