出光が発展してきた力の根本は
「仲よくする力」以外にない

創業者 出光 佐三

今日の世界が、これだけ交通が発展して時間的に狭くなった以上は、全世界あるいは全人類の平和とか福祉というような、世界全体を対象として考えなくちゃならないと思うんです。そして、今日の世界全体を考えるときに、一番問題になるのは、対立闘争で行き詰まっているということですね。のみならず、そういう危機状態に入っている。
これをそのまま放っておいていいかどうかということなんです。

そこで、それならどうしたら解決がつくかということですが、これがすこぶる簡単明瞭なんです。お互い助けあう、仲よくするということでいいんじゃないかと私は思うんですね。

世界の人びとが求めている福祉とはお互いに仲よく助けあうことですから、人間の働く意味がそこに出てきます。人間は働かなくてはならない。しかも、お互いのために働かなくてはならない。自分のためのみでなく人のために働く、そこに真の福祉がある。
そして人が働くなら能率をあげなきゃならない。この能率をあげることでは資本主義が最も適している。ただ、資本主義の欠点は資本家の搾取です。

「人間尊重」という考えを事業を通じて実践し、
広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。

出光がいちばんだいじにしているものは人間です。
他の会社でも、人間がいちばんだいじと聞かされたかもしれません。
たとえば、人間が最大の経営資源だと……。
でも、出光の『だいじ』は、そういう『だいじ』と違うのです。
経営の3つの資源、ヒト・モノ・カネのヒトをだいじにしているのではありません。
出光は『ヒト』ではなく『人間』をだいじにしています。真面目に本気で、『人間尊重』をつらぬいています。
出光にはタイムレコーダーがありません。最近になってやめたわけではなく、創業以来ずっと、出光にはタイムレコーダーはないのです。出光には管理という言葉がなじまないのです。若い人も責任ある仕事を任され、自ら判断し、自由に働いています。
"仕事を通じて尊重される人間になる"こと、それが出光の『人間尊重』です。出光の事業の目的は、そのような人を育てることです。出光に集まった人たちすべてが、尊重される人間に育ち、一致協力して真に働くことにより、社会に貢献することを目指してほしいと思っているのです。

世界の中でのわが国のあり方、経済のあり方が問われている今日、多くの企業が新たな目標、理念を模索しています。その中で出光は新しい時代の変化も取り入れながら創業以来変わらぬ『人間尊重』の理念をこれからも追い続けていきます。