石油製品が届くまで

日本において、石油製品の約50%が自動車、飛行機、船舶などを動かすエネルギーとして、約25%が工場やボイラー、家庭用暖房などの熱源として、約25%がプラスチックや合成繊維などの化学製品の原料として使用されています
出光興産は、人々の生活・経済活動に欠かせない石油製品を安定的に供給すること、カーボンニュートラル社会への貢献を両立することを責務と位置付けています。

  • 出典: 石油連盟

出光興産の石炭事業

原油調達

石油製品の原料である原油は、主にアメリカ、中東などで産出されています。原油は世界で約300種類存在し、その油種によって品質(比重、硫黄分など)に違いがあり、価格、製油所装置への適性、得られる石油製品の割合などが異なります。
当社では原油価格や製品市場、需給バランス、製油所の稼働状況などを踏まえ、最適な原油を安定的に調達しています。なかでも中東の産油諸国とは長年にわたり良好な関係を維持し、安定調達に寄与しています。

大型タンカーでの原油輸送

当社では主に、子会社である出光タンカー株式会社が運航するVLCC(Very Large Crude Oil Carrier)と呼ばれる大型タンカーで原油を運搬しています。VLCCの全長は約300mで、東京タワーとほぼ同じ大きさになります。VLCC1隻あたりの原油積載可能数量は約200万バレルです。当社グループも含めた日本全国の石油精製能力は1日あたり約346万バレルなので、VLCC1隻だけでも非常に大きな量の原油を積載・輸送していることになります。
中東から原油を輸入する場合、日本の製油所に到着するまでに約20~25日かかります。

製油所での精製

原油は、製油所と呼ばれる工場において石油製品に精製されます。

製油所での精製

蒸留(一次処理)

原油は常圧蒸留装置という高さ50mほどの塔内で350℃以上に加熱され、沸点の差を利用して、留分別に分離濃縮されます。

脱硫、分解、改質等(二次処理)

脱硫

それぞれの留分から大気汚染の原因となる硫黄分を取り除く工程です。これによりガソリンと軽油は サルファーフリー (硫黄分10ppm以下)の製品を供給することが可能になります。

分解

蒸留工程で出てきた炭素数の多い留分を、炭素数の少ない留分に分解する工程です。これにより、重油・アスファルト留分がガソリン・灯軽油留分に作り替えられます。

改質

オクタン価の低いナフサ留分をオクタン価の高い改質ガソリンに改質します。

二次処理の後、品質調整・確認を行い、規格を満足したものが製品となります。

原油精製の過程において、特定の成分だけを生産することは不可能で、複数の留分が同時に生産されます。各留分の得られる割合は原油の種類によって決まります。
ガソリン、灯油、軽油など特定の製品の需要が多いため、それらの製品を構成する留分を得やすい原油を調達する、または他の留分を分解してガソリン留分などを得るといった対応を行います。
ガソリン、灯油、軽油などを構成する留分をより得やすい軽質な原油は、そうではない重質な原油と比べて価格が高い傾向にあります。価格の安い重質な原油を調達し、重油などの成分を分解して必要な成分を得られればコスト競争力に繋がり、当社グループの製油所はこの機能を果たす分解装置を多く備えていることが強みです。

当社グループでは、国内4製油所・3事業所※1体制で日々安全操業に努め、お客様の要望にお応えする適正な製品を供給するために品質保証の取り組みを推進しています。
製油所・事業所を通じてエネルギーの安定供給に貢献するとともに、その敷地や設備を活用し、新たな低炭素・脱炭素エネルギーハブへと生まれ変わらせる「CNX※2センター化」を推進しています。

  • 石油精製機能をもつ工場を製油所、石油精製と石油化学品生産までを行う工場、または石油化学品生産のみを行う工場を事業所と位置づけています

  • CNX:Carbon Neutral Transformation(カーボンニュートラルトランスフォーメーション)

タンクローリーや船舶での国内配送

製油所から出荷された製品は、タンクローリーや船舶で油槽所と呼ばれる石油基地に運ばれます。これらの油槽所を経由し、タンクローリーなどでサービスステーションや工場などのお客様に配送されます。

お客様への販売

当社のサービスステーションapollostationでのガソリン・軽油・灯油等の販売に加え、船舶や発電所、工場向けの重油の販売、航空機向けのジェット燃料の販売などを行っています。

燃料油販売における特約販売店法人営業担当者向け資格制度「出光テクニカルマスター(ITM)」

当社は、特約販売店法人営業担当者の商品知識や提案力強化を図り、燃料油を通じてお客様の課題解決に役立てる出光グループ作りを目指して2009年に「出光テクニカルマスター(ITM)」資格制度を導入しました。
ITM1級は幅広い石油製品の知識に加え、商品・装置・周辺設備・法規等の専門知識、環境対応や省エネ・省コストを実現する提案力を備え、年1回行われる最上級の資格試験に合格した方のみに授与されます。
研修会などの取り組みを通じて時代の最先端の知識取得と提案力向上に努め、お客様のよきパートナーとして信頼を獲得し続けてまいります。

最上級資格である「ITM1級」を取得した特約販売店営業担当者をご紹介します。