陶片室では日本をはじめアジア各地の遺跡や窯跡から出土した世界各地の貴重な陶片資料を常時展示しています。やきものの新たな魅力やおもしろさを発見できる当館ならではの展示室です。

陶片室について
出光美術館の陶片室は、古陶磁を学ぶための特色ある展示室として、昭和41年(1966)の開館と同時に開設されました。
当館では、伝世する名品の展観とあわせて、古陶磁の魅力や歴史をより深く理解するために、そのうつわが焼かれた窯跡や使われた生活遺跡から出土した、いわゆる陶片を重要視してきました。
この展示室には、アジア諸地域の古窯跡あるいは重要な都市・港湾遺跡などから発見された古陶磁片を陳列しています。日本各地の古陶磁片(猿投窯・中世六古窯・美濃窯・古唐津・伊万里・鍋島など)はもとより、朝鮮半島・中国・ベトナム・タイ・イラン、さらにはエジプトの中世遺跡であるフスタートから出土した貴重な陶片などを多数ふくんでいます。
日本の陶磁史研究において陶片資料を使って大いなる業績を残したのが、出光美術館理事であり国際的にも著名な2人の学者、小山冨士夫先生(1900〜1975)と三上次男先生(1907〜1987)です。この2人の先達の学識こそが、当館の陶片コレクションには貫かれているのです。
とくに陶片室の開設に尽力されたのは、小山先生でした。小山先生の中国宋代の名窯、定窯々跡の発見は世界的に有名で、また国内では中世の古窯跡を調査し、「中世六古窯」の概念を確立させました。昭和初期以来続けられた古窯跡調査や陶片を利用した科学的な研究方法は、国内の研究者に広く影響を与え、現在の陶磁研究の方法論の基礎を成しています。
さらに、三上先生は、中国の古陶磁片を調査研究することで壮大な学説を提唱されました。出光中東調査団のエジプト・フスタート遺跡調査(1964年)に端を発する東西の貿易ルートの調査により、「陶磁の道(海のシルクロード)」という概念を確立させたのです。現在では「絹の道」とならび、「陶磁の道」は世界的な貿易ルートとして認識されるに至っています。
当館は、これからも小山・三上両先生の遺志を継いで、研究資料としての内容を充実させるとともに、多くの皆さまに陶片の鑑賞を楽しんでいただけるような展示を目指し、陶片室の充実に努めてまいります。興味をもって古陶磁を学んでいただく機会となれば幸いです。
小山冨士夫先生
三上次男先生
小山先生の越前調査により昭和24年に中世六古窯の概念が確立
エジプト・フスタート遺跡出土の中国陶磁の陶片
エジプト・フスタート遺跡出土のヨーロッパ各地の陶片
谷口吉郎氏が設計した茶室「朝夕菴」では季節の取り合わせをご覧いただくことができます。本茶室は昭和50年(1975)、表千家家元即中斎宗匠を迎え「朝夕菴」披きの茶会を行いました。ロビーを望む館内の一角で、季節にあわせた茶道具の展示をお楽しみいただきます。

現在の展示作品
展示期間 2012年5月8日〜6月10日
| 掛軸 | |
| 花入 | 唐物竹籠 |
| 香合 | 堆朱水禽図 |
| 硯箱 | 藤花蒔絵 植松包美作 |
| 釜 | 車軸形浜松地文 名越弥五郎作 |
| 風炉 | 紅紫銅四方 中川浄益作 |
| 風炉先屏風 | 竹組 飯塚小 |
| 水指 | 古染付山水文 |
| 茶入 | 瀬戸肩衝 銘 篝火 |
| 茶碗 | 奥高麗 |
| 茶杓 | |
| 建水 | 砂張 |
| 蓋置 | 竹引切 即中斎在判 黒田正玄作 |


