工場敷地境界における侵入警戒システムの紹介

概要

近年モラルの低下などにより、愉快犯的な悪戯、窃盗などを目的に管理エリアや建造物などへの不正侵入とそれに付随する設備への悪戯や破壊などが懸念されています。そのため、セキュリティの意識が高まり、ICカードなどによる不正侵入防止(入退管理)や敷地境界部の侵入監視を目的とした種々の管理・監視システムが急速に普及しています。本稿では、敷地境界部の侵入監視システムについて概要を紹介します。

侵入警戒システムのコンセプト設定と具体的な検討事項

侵入警戒システムの構築に際し、設計からシステム構築、運用開始までの業務を円滑に進めるために、下記のようなコンセプト(要求機能、性能等)をまとめ、関係部署との事前合意が重要です。
また、コンセプトに基づいた設備を構築するにあたり、敷地境界部や海岸部分での設置環境や運用上の制約条件、気象条件、動物などの影響を考慮し、適切な設備機器の選定と配置が必要です。

表1 コンセプトと具体的な検討の一例

表1 コンセプトと具体的な検討の一例

※1 侵入形態にはフェンス穴あけや乗り越えを想定。必要により、フェンス下部(地中)からの侵入も想定する。
※2 センサ形式やカメラは設備の設置環境やコストを加味して決定する。
※3 アラーム発報時は現場へ急行し確認できるよう植栽の剪定、間引きなどにより環境を整備する。

警戒センサの概略と組み合わせによる効果

警戒に用いる各種センサの内、数例の特長を表2に示します。また、図1に各種センサの組み合わせによるフェンス際の監視例を示します。

表2 各種警戒センサの特長

特長 センサ型式
フェンスセンサ 警戒距離:0~150m(起伏やうねりによる影響なし)
検知領域:電気式、光式等のセンサワイヤにより振動や断線を検知
フェンス本体の金網や忍び返し部取り付けのため空地不要
張力・断線式
振動式
赤外線センサ 警戒距離:100~150m(起伏やうねりのない、見通せる場所に限る)
検知領域:赤外線ビームの遮断により検知
設置はセンサの飛び越え防止のためフェンスなどの構造物から離す必要がある
ビーム式
マイクロ波センサ 警戒距離:70~100m(起伏やうねりのない、見通せる場所に限る)
検知領域:領域内の電波の揺らぎや遮断面積により検知
設置はフェンスの内側に半径2m以上の空間が必要
マイクロ波
画像センサ
(モーションディテクタ)
警戒距離:100m(起伏やうねりのない、撮影可能な場所に限る)
検知領域:最新映像と前回撮影映像から差分抽出し、比較処理により検知
気象条件(雨、雪)や海面(波、逆光)等を考慮したフィルタリング処理が必要
画像処理

図1 各種センサの組み合わせによるフェンス際侵入監視の例

図1 各種センサの組み合わせによるフェンス際侵入監視の例

システムの全体イメージ

システムの全体イメージ

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