ほっと安心、もっと活力、きっと満足。出光の約束
文字サイズ
  • 標準
  • 大きい
  • お問い合わせ・ご意見

保温材下腐食検出技術の適用評価と課題

保温材下腐食(Corrosion Under Insulation:CUI)について

配管の保温材下腐食は、その配管での保温構造により、ひとたび雨水の侵入がおこると被覆板金と配管との半閉鎖空間に湿気が閉じ込められ、抜けにくいことに起因しています。
代表的な配管保温構造とCUIの状況を図−1に示しますが、この外装鉄板の重ね部は、運転での発停繰り返しで伸縮を繰り返し、長い運転の間には空隙を生ずることが多々あります。雨水の侵入はこの空隙部からのものが大部分です。そのほか、温度計などの各種計装ノズル部でのシール不良も雨水侵入の原因となります。侵入した雨水は保温材に浸透し、湿潤環境を形成します。この湿潤環境が配管本体の運転中の温度により蒸発し、また外装面での大気温度差により凝縮するという繰り返しが配管内で行われます。保温配管が海の近くに設置されている場合は海塩粒子を溶解した塩分水がすきまより侵入して腐食を促進させます。
保温材下腐食は、その腐食の特長として以下の項目が挙げられ、それが、一般の外面腐食と異なり、評価を困難にしています。

  1. 腐食部が、外装保温板金・保温材を外さないと目視検査ができない。
  2. 外装保温板金の不良部の直下が腐食するとは限らない。
  3. 保温材の吸湿部と配管腐食部とは直接の関係が無い。
  4. 腐食部は腐食生成物の錆に蔽われ、腐食程度がわからない。
  5. 腐食はごく局部的に発生し、その周辺は健全であることが多い。
このCUIの検出には、配管種類が多岐におよぶこと、かなりの対象長さがあることより、検出検査には、まず作業効率が要求されます。
また、一般機器における検査と異なり、大部分の配管検査においては、内部流体を抜かないで検査せざるを得ないことが多くあります。
図1.配管保温構造および配管腐食
図1.配管保温構造および配管腐食

CUIへの検出技術

CUIは、前述のように一般の外面腐食と異なり、保温材の剥離なしに目視検査が適用できないことより、通常の検査法では、色々と制約をうけます。代表的なCUI検査方法として現在、適用が試みられているものを表−1に示します。

表−1 CUIへ適用される非破壊検査技術

(1) 剥離・目視検査
(2) 放射線透過試験
x線、r線
Real Time Radiography
(3) 中性子吸収能試験
(4) 赤外線カメラ(熱線放射)
(5) 電磁気探傷法(磁気渦流探傷 ET)
(6) 超音波探傷試験
低波長域での探傷
ロングレンジUT

・磁歪ガイド波

・圧電素子ガイド波
これらのうちで保温配管という特殊性を考慮すると、どこに主眼をおくかによって採用する検査方法が絞られます。すなわち、測定する対象を、直接配管金属そのものとする法(直接法)と、配管をとりまく環境を対象とする法(間接法)に分けられ、さらに、測定結果についても、位置評定を目的にするのか減肉厚測定なのかに分けられます。

保温構造という特殊性より、理想的には位置測定、減肉厚測定を保温材の上から求められれば良いのですが、まだそのレベルまではいたっていません。
ようやく、保温材上からのアプローチと長大距離への試行が進められている状態です。

検証結果

前述のように、いろいろな非破壊検査方法が提案されていますが、実際の腐食配管での検証試験が有効性検証には最も適しています。そこで、エン振協より委託をうけた腐食防食協会では傘下企業の協力を得て、実腐食配管を設置したテスト場にて、これら非破壊試験法のフィールド試験を実施し、これらの非破壊試験方法のCUIへの適用性検討を行いました。当社は、当研究の委員長として報告をまとめました。

1.適用検査法

適用した検査法は、下記の3種類です。

  • 圧電素子型 ロングレンジ超音波探傷法
  • 磁歪誘起型 ロングレンジ超音波探傷法
  • パルス式渦流探傷法

2.各種試験結果の評価

結果の一例を、ロングレンジ超音波探傷試験における信号と周波数の関係として図−2に示します。これによると損傷形態で最適周波数があることを示唆しています。また、当手法は断面積現象と信号とに相関があるといわれているため、図−3に腐食信号と欠損断面積との関係を実測定データをプロットして比較していますが、機械的欠陥であれば数%の欠損断面積でも信号が得られることがわかりました。
  • 図2.4B配管探傷解析結果(各周波数の検出信号)
    図2.4B配管探傷解析結果(各周波数の検出信号)
  • 図3.腐食信号と欠損断面積(全面腐食の例
    図3.腐食信号と欠損断面積(全面腐食の例

CUI検出技術の課題

研究室および実腐食配管でのテスト結果を踏まえて、CUIへの検出技術における課題を述べます。

今回、検証した検出技術はいずれも、その信号処理結果について公的な数値基準値が設定されていない開発途中の技術であり、その定量性への要求は高いにもかかわらず、精度が十分ではない状況です。
それはひとえに当該技術の技術限界性を論じているわけではなく、実際の腐食現象と向き合って、要求内容と検出能、精度を論議しないことに起因していると思われます。

また、新技術であるがゆえに、機器取り扱いの習熟、信号処理の判断基準など、ルール化されたものがないので、機器製造メーカーより購入した検査会社において、まずは実際に配管に適用して、その性能を確認しながらという段階であることによります。
この解決には、CUIという特殊形態腐食への各々の検出技術の特性を把握して、それに合った適用方法での対処が望まれます。

出光エンジニアリングでは、社外活動を通じても、このような新技術の評価を行っております。
当検討は、エンジニアリング振興協会での研究成果の一部です。同協会に対して、ここに深く感謝いたします。
  • ご意見・ご質問コーナー
このページの上部へ