加熱炉の熱流体解析技術

熱流体解析技術を活用したシミュレーション

加熱炉チューブ表面温度の検討をする場合、従来の設計手法ではバーナーが均一に燃焼されていることを前提として検討されますが、不均一燃焼(バーナー間引き運転等)の場合、従来設計手法では精度の高い検討が困難となります。

図1.FLUENT解析モデル(バーナー一部消化運転ケース)

この条件に対応できる技術として熱流体解析技術があります。そこで今回、熱流体解析技術を活用して炉内ヒートフラックスおよびチューブ表面温度の分布を解析し、燃焼条件(均一燃焼、不均一燃焼)による比較検討を行いました。
これにより、不均一燃焼時の炉内挙動が解明され、コーキング抑制対策を立案することで、加熱炉の安全操業に貢献することができました。

シミュレーションの概要

まず熱流体解析ソフト(FLUENT)を用いた燃焼、流動、輻射伝熱解析によりチューブへのヒートフラックスをシミュレーションし(図1参照)、その結果を基にチューブ内伝熱設計手法によりチューブ表面温度を推定しました。
燃焼条件による比較を行う為、解析ケースとして、バーナーを一部消火したケースと全数点火したケースについて実施しました。

図2.炉内燃焼ガス流動状態(バーナー一部消化運転ケース)

炉内挙動の解明

バーナーを一部消火(不均一燃焼)して運転した場合、以下の挙動により、炉内南側上部にチューブ高温(コーキング)部が発生する可能性があることが分かりました。(図2参照)

  1. 炉内ドラフト効果により、負荷の高い側(炉内南側)に燃焼ガスが流れる。
  2. 炉内南側に高温の燃焼ガスゾーンが形成される。
  3. 高温燃焼ガスの一部北側への流れに加え、チューブ周りへの循環流が生じる。

これに対して、バーナーを全数点火(均一燃焼)することで、ヒートフラックスの偏りが解消されることがシミュレーションの結果より確認されました。(図3参照)

図3.炉内ヒートフラックス分布

対策案の立案

上記結果を受け、以下の対策案を立案しました。

  1. 加熱炉チューブのデコーキング※1
  2. バーナー全数点火の為の設備改造※2

また、これらの対策によりチューブ表面温度は大幅に低下しました。(図4参照)

図4.放射温度計測定結果

※1 温度計設置箇所以外でのコーキングの可能性が考えられた為
※2 バーナーを小容量の仕様に変更しました

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