トップメッセージ

出光興産株式会社 代表取締役社長 木藤俊一

代表取締役社長の木藤俊一です。

2022年11月、当社は2023年度を起点とする 中期経営計画 を公表いたしました。
当社には燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の5つの事業セグメントがあります。現在、このうち燃料油と資源はもとより、石油・ガスを原料とする基礎化学品や電力など、大部分の事業が化石燃料に関連しており、これらの資産は当社総資産の約7割を占めます。2050年カーボンニュートラル社会に向けて、当社はどこに向かうのか、言い換えれば、化石燃料依存の事業構造をどのような時間軸でいかに変えていこうとしているのかについて、現時点でのビジョンと道筋をお示ししようと考えて策定したのが今回の中期経営計画です。
策定にあたっては、当社の存在価値や社会への提供価値、次いで当社の強みや主戦場とするフィールドの順に議論を進めていきました。そして今回、当社の提供価値を「社会実装力」と定義しました。カーボンニュートラル、循環型社会の実現には、多様なパートナーとの連携が不可欠です。利害や価値観の異なる関係者を束ねていくには、北極星となる大義が必要であり、ここに国・地域社会のために考えぬき、働きぬくことを大事にする当社の存在意義があると考えています。

そのうえで、2050年ビジョン「変革をカタチに」を策定しました。

2021年5月に2030年ビジョン「責任ある変革者」を策定しました。2050年カーボンニュートラルの実現には、非連続的な技術革新が必要です。一方、エネルギー供給には連続性が求められます。未来の地球環境を守ることも大事ですが、今日の人びとの暮らし、産業活動を支えるエネルギーを供給し続ける責任を放棄する訳にはいきません。足元では、ロシアによるウクライナ軍事侵攻などを機に、エネルギーを取り巻く環境が過去に類を見ないスピードで変化し、理想と現実の狭間において化石燃料の重要性が世界的に再認識されております。だからと言って、気候変動問題への対応を後退させる訳にはいきません。「エネルギーの安定供給と気候変動問題の解決を両立させるための道筋=現実解」を示すのが当社の使命だと考えております。

約110年前の創業時から、私たちは事業を通じて社会に貢献することを目標とし、「人の力」を結集して様々な困難に挑み続けてまいりました。そして今、この混沌とした時代にこそ、改めて「人の力」を信じ、結集して変革を成すことが必要です。国内外でお取引いただいている全てのお客様、事業を展開する地域の皆さま、地域に密着した特約販売店、物流や保全の協力会社、産油国をはじめとする国内外のサプライヤーなどのビジネスパートナーの皆さま、そして多様なバックグラウンドを持った当社の従業員とともに、エネルギーの転換点ともいえるこの荒波を乗り越え、新たな価値創造に挑戦してまいります。

出光興産株式会社 代表取締役社長
木藤 俊一

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