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酉の年

昭和32年 徳山製油所竣工火入れ式
昭和32年 徳山製油所竣工火入れ式
(出典:「我が六十年間 第一巻」675〜677頁)

今年は酉の年である。鷄(にわとり)は暗(やみ)を破つて東天紅(とうてんこう)と喋刀iはばた)く、其(そ)の聲(こえ)は勇ましく烽轤ゥである。東海の空に曙光はさし初めるの年である。國民は深く膽(きも)に銘じて力強く大地に踏ん張り高らかに兩手を延ばし、英氣を鼓舞すべき年である。
世界の混亂(こんらん)は何を物語りつつあるか、全人類の求めつつあるものは何であるか、これは天地C淨の氣であり、人類和合の呼吸である。自ら~國と稱(しょう)し二千年の和合の歴史を誇る東海の國民はその使命に答うべきである。
私は酉年に生れて七回目の酉を迎え七十三歳である。私にとりても記念すべき年である。それは多年の試驗室より飛び出して、國家社會に示唆を與(あた)うるの巨歩を踏み出す記念すべき年と云(い)い得るからである。その一つは新たなる經營(けいえい)理念であり、他はコ山製油所の竣工である。
昭和十七年七月八日、百人に餘(あま)る社員が陸軍の囑託(しょくたく)として南方地域に於ける石油配給のため母國を出發(しゅっぱつ)することとなつた。その壯行の辭(じ)として手渡したガリ版の文中に次の一節がある。
南の新天地は白紙である、些(いささ)かの因襲情弊なし、吾人はこの白紙の新天地に於て廣大複雜と稱せらるる難事業を簡單容易に綜合統一し以つて人の眞の力を顯現(けんげん)せんとするものである。是(こ)れ單に石油配給上の一些事と考うべきにあらずして依而以而(よってもって)國家社會に對(たい)する一大示唆となすべきである。
《中略》
終戰後、吾々(われわれ)はこの團結(だんけつ)の力の基盤の上に立つて昨年を以つて十年を過した。そして過去四十五年間の人間尊重に對する結論を明確にした年である。それは、
一、國民消費者に優良安價(あんか)なる商品を提供する消費者本位の政策
二、闇市場に流れるを防止して供給を確實(かくじつ)にし、消費者をして安心してその本業に専念せしむる大地域小賣業
三、出來得る限り利潤の社内保留を多くして働く人の事業たらしめ、働く人の老後を安定せしむると云う從業員本位の政策
であつた。
處(ところ)が偶然にもこれが國際的新らしき經營理念であることをも知るに至つた重要なる年であつた。これに加えて本春はコ山製油所の竣工を見るの年である。人の一致協力によつてこの製油所が迅速簡單に出來上りて、更に新たなる方面より社會國家に示唆を與うる年である、そしてこの示唆は加速度に進むであろう。吾々は愈々(いよいよ)自重自戒一抹のゆるみを見せずに更に更に苦難の途(みち)を撰(えら)び愈々瞑想を深めつつ新たなる構想を練らねばならぬ。
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